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厚底ランニングシューズは市民ランナーにも向いている?初心者向けおすすめ4選と選び方

シューズ
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厚底シューズと聞くと、「速い人が履くもの」「レース用で高価」というイメージを持つ方も多いのではないでしょうか。

ところが最近は、70代のランナーやフルマラソン4時間台のランナーが厚底を履いている、という話も珍しくなくなってきました。敷居は、少しずつ下がってきているようです。

とはいえ、「遅い自分が履いても意味がないのでは」「怪我をした経験があるので不安」という気持ちもあると思います。怪我をすると治療費もかかり、走ること自体にも思いのほかお金がかかるので、高価なシューズほど慎重になります。

そこでこの記事では、厚底に関する研究や専門家の見方を整理したうえで、初心者や市民ランナーが入門として選びやすい4足を紹介します。先に結論を書くと、私の基本的な考えは「好きなシューズを履けばいい」です。

今回の選び方の基準

  • 初めてでも扱いやすい、プレートなし、または穏やかなロッド/ナイロンプレートのモデル
  • 2万円台前半までで購入しやすい
  • 日々のジョグから使える

「遅いランナーには意味がない」は本当?

厚底の効果を語るときによく出てくるのが「ランニングエコノミー」です。同じペースで走るときのエネルギー消費の少なさのことで、走りの「燃費」にあたります。

2026年に報告された比較試験では、時速7.5〜12km(1キロ約8分〜5分)の範囲で、カーボン系などの高機能な厚底は、低速でも酸素消費の節約につながったとされています。1キロ6分40秒は時速9kmなので、この範囲に入ります。専門家の解説でも、トップ選手ほどの効果はなくても「遅いランナーには意味がない」わけではなく、変わるのは最高速度よりも燃費だとされています。同じペースでのエネルギー消費が減れば、最後まで余力を残しやすくなります。記録だけでなく「もっと楽に走りたい」人にも価値がある、という見方です。

ただし、そのまま鵜呑みにはできません。この試験は被験者が14名で、平均年齢は25歳前後と若く、使われたのはOnのシューズでした。以前の研究には、低速になるほど節約効果が小さくなるという報告もあります。41名の市民ランナーを時速10kmで調べた研究でも、効果は見られたものの、大きさはブランドによってばらつきがありました。

つまり「燃費が良くなる傾向は報告されているが、効果の大きさには個人差やモデル差がある」というのが、現時点での落としどころです。

厚底には種類がある

厚底と言っても、中身は大きく3つに分かれます。

  • カーボンプレート入り:レース用の最上位モデル。例えばナイキのヴェイパーフライ4は29,700円(税込)です。
  • ロッド/ナイロンプレート入り:カーボンではなくグラスファイバーやナイロンを使い、反発を穏やかにしたタイプ。
  • プレートなし:柔らかく反発するフォーム材で、厚みと弾みを楽しむタイプ。

注意したいのは、研究で効果が確認されたのは主にカーボン系の高機能な厚底だという点です。柔らかさと反発を重視した試作モデルは、従来型のシューズとの差が検出されませんでした。プレートなしの厚底に「燃費が良くなる」と期待するのではなく、履き心地や走る楽しさを試す入口と考えるのが現実的です。

また、カーボン入りは、ある程度のペースで地面を強く押せるほど活きる、という見方もあります。フルマラソンで4〜6時間台を目指すランナーには別タイプを勧める専門家もいます。そこで今回は、プレートなしと、プレートが穏やかなタイプから紹介します。

初心者・市民ランナーにおすすめの厚底ランニングシューズ4選

① ASICS NOVABLAST 6(メーカー希望小売価格17,600円)

弾むようなクッション性はそのままに、全体的な安定感と走りの滑らかさがさらに磨かれた、非常に完成度の高い万能型厚底シューズです。
1. 進化したミッドソール(クッションと反発)
    • 新素材「FF BLAST PLUS ECO」の採用: ミッドソールに環境配慮型の新素材を採用。前作よりもさらに軽量で、もちもちとしたクッション性と力強いバウンス感(跳ね返り)を提供します。
    • トランポリン構造の強化: 靴底の中央が凹んだ独自の「トランポリン構造」により、着地したエネルギーをそのまま前への推進力へと変換します。

2. 軽量性を維持したまま、走りがより「滑らか」に
    • ジオメトリー(形状)の刷新: ミッドソールの側面やソールのカッティングデザイン(幾何学模様)がアップデートされました。これにより、着地から蹴り出しまでの体重移動が前作以上にスムーズに行えるようになっています。
    • 重量の維持: クッションの厚みやサポート力を向上させながらも、重量は27.0cmで約249g〜253gと、前作と同等レベルの軽量性をキープしています。

3. グリップ力と耐久性の向上
    • 「AHAR LOW RUSH」アウトソール: アウターソールには、優れた耐摩耗性を持ちながらも、柔らかく地面を捉える新しいラバー素材を採用。走行時の静音性が高まり、濡れた路面でも滑りにくくなっています。

4. アッパー(足入れ感)の改良
    • 快適なフィット感: 通気性と伸縮性に優れたエンジニアードウーブンアッパーを採用。足の形状に合わせて柔らかく包み込み、長距離ランでも蒸れにくく快適です。
    • ウィメンズのラスト(靴型)変更: 今作からウィメンズモデルもメンズと同じラスト(靴型)をベースに作られるようになり、足幅の空間(特に前足部)に少しゆとりが生まれています。

🏃‍♂️ どんなランナーにおすすめ?
    • 日々のジョグを楽しく、気持ちよく走りたい方
    • フルマラソン完走〜サブ4(4時間切り)を目指すレース用
    • レース本番はカーボン靴(メタスピードなど)を履くランナーの、脚を残すための練習用(テンポラン・ロングラン)

② Saucony ENDORPHIN AZURA(販売店掲載価格23,100円)

最高峰のクッション素材を使いながら「あえてプレートを入れない」という選択をしたことで、軽さ、柔らかさ、そして扱いやすさを兼ね備えたスーパートレーナー(万能練習靴)です。
1. 超軽量 × フル「PWRRUN PB」
    • 最高峰のクッション素材: サッカニーの最上位レーシングシューズ(エンドルフィン プロなど)に使われる、超軽量・高反発素材「PWRRUN PB」をミッドソール全体に贅沢に採用しています。
    • 圧倒的な軽さ: メンズ27.0cmで約240g(実測230g台後半)、ウィメンズ24.0cmで約200〜210gと、40mmの厚底クッションを持ちながら驚異的な軽さを実現しています。

2. 「ノンプレート(プレートなし)」による自然な走り心地
    • 足に優しい自然な屈曲: カーボンやナイロンなどのプレートが内蔵されていないため、足の動きに合わせてソールが自然にしなります。プレート特有の硬さや「強制的に走らされる感覚」が苦手な方でも安心して履けます。
    • 自分の脚を鍛えられる: プレートのサポートに頼り切らないため、長距離を走りながら自分の足裏の感覚や筋力を自然に使うことができます。

3. ロッカー構造によるスムーズな推進力
    • 「SPEEDROLL(スピードロール)」テクノロジー: プレートがなくても、ソールのつま先側がクルッと反り上がった独自の形状により、体重移動するだけでコロンと前へ転がるように進みます。

4. 快適なフィット感と高い耐久性
  • 快適なアッパー: 通気性の高い軽量メッシュを採用し、足を優しく包み込みます。
  • 十分なアウトソールラバー: 軽さを追求しつつも、摩耗しやすい部分にはしっかりラバーが配置されており、日々の練習でガシガシ使える耐久性を備えています。
🏃‍♂️ どんなランナーにおすすめ?
  • プレート入りシューズだと足が疲れてしまう・ふくらはぎが痛くなる方
  • 厚底の極上のクッションと、とにかく「軽い靴」を求めている方
  • 日々のジョグ、LSD(長距離ゆっくり)、テンポラン(少し速めのペース走)まで1足で何でもこなしたい方

③ adidas ADIZERO BOSTON 13(18,700円)

シリーズ伝統のタフさと推進力はそのままに、今作は約15gの大幅な軽量化とクッションの増量を果たし、より万人向けで扱いやすい万能シューズへと進化しています。
1. 「LIGHTSTRIKE PRO」の増量による極上の反発力
    • 最上位素材を13.8%増量: レーシングモデル(プロ 4など)と同じ超高反発素材「LIGHTSTRIKE PRO」を前作より増量。足裏全体でより強い弾力と、沈み込んでからポンと押し出されるようなエネルギーリターンを実感できます。
    • 2層構造による安定性: ソールの下層には、耐久性と安定性に優れた硬めの「LIGHTSTRIKE 2.0」を配置。柔らかすぎないため着地時にブレにくく、体幹がブレやすいロングランでも後半まで安定して走れます。

2. グラスファイバー製ロッド「ENERGYRODS 2.0」
    • 自然な推進力: フルカーボンプレートとは異なり、足の骨の構造に合わせた5本指状のグラスファイバー製ロッドを内蔵。カチカチとした硬さがなく、足の動きに合わせた自然な「しなり」と、スムーズな前への転がり(ローリング)を生み出します。

3. 大幅な軽量化(前作比 −約15g)
    • 27.0cmで約253g: これまでのボストンシリーズは「少し重い(270g前後)」のが弱点でしたが、今作はミッドソールの削り込みや新アッパーの採用により、前作(ボストン 12)から約15gの減量に成功。持った瞬間、走った瞬間に軽さを実感できます。

4. 抜群のグリップを誇る「Continental™ラバー」
    • 自動車のタイヤ技術を採用: アウトドアや濡れた路面でも絶対に滑らないとランナーから絶大な信頼を得ている「コンチネンタルラバー」をアウトソールに採用。雨の日のレースや、急なコーナリングでも路面をガッチリ捉えます。

🏃‍♂️ どんなランナーにおすすめ?
    • フルマラソン完走〜サブ4(4時間切り)を目指すレース本番用
    • スピード練習、ビルドアップ走、距離踏み(ロングジョグ)までタフに使い倒したい方
    • 耐久性が高く、1足で何百キロもガシガシ走れる「コスパの良い練習靴」を探している方

④ Saucony ENDORPHIN SPEED 5(販売店掲載価格 約2万円)

シリーズの代名詞である「ナイロンプレート」と「極上の超高反発クッション」を組み合わせた、スピードの出しやすさと扱いやすさをハイレベルで両立したテンポアップ・レースシューズです。
1. 進化した「ウイング形状ナイロンプレート」
    • ブレない高い推進力: ソール内部に、両サイドが反り上がった「ウイング形状」のナイロンプレートを内蔵しています。フルカーボンプレートほど硬すぎず足に優しい設計でありながら、着地時の左右のブレを抑え、前方への強い押し出し感(スピードロール・テクノロジー)を生み出します。

2. レーシング素材「PWRRUN PB」による抜群の弾発性
    • 驚異的なエネルギーリターン: サッカニーの最高峰クッション素材「PWRRUN PB」を100%使用しています。非常に軽量(メンズ27.0cmで約237g)でありながら、踏み込んだ分だけ強烈に跳ね返るバウンス感を備えています。

3. 前作(SPEED 4)からの改良点:安定性と耐久性の強化
    • 接地感の安定: 前足部のミッドソールの幅をわずかに広く、そしてかかとを包むヒールカウンターを少し硬めに改良。これにより、前作よりも着地時のグラつきが軽減され、より安心してスピードを出せるようになりました。
    • 寿命の向上: アウトソールのラバー厚が前作の2.0mmから2.5mmへと厚くなり、日々の練習でガシガシ履いてもソールが削れにくい耐久性を獲得しました。
    • 乗り味の変化: プレートの調整やラバー厚の変更により、前作よりも「ややしっかりとした(芯のある)踏み心地」にシフトしており、より高ペースでの走りに適したチューニングになっています。

🏃‍♂️ どんなランナーにおすすめ?
  • フルマラソンでサブ3.5(3時間半切り)〜サブ4を目指すレース本番用
  • インターバル走、ペース走、ビルドアップ走など、スピードを出すトレーニング全般
  • 本番はカーボン靴(エンドルフィン プロなど)を履くシリアスランナーの、本番に近い感覚で走るための練習用

4足を比較

シューズ 価格の目安 重量 ソール厚(かかと/前足部) ドロップ 向いている場面
NOVABLAST 6(プレートなし) 17,600円 約253g 41.5/33.5 8mm ジョグ〜テンポラン・ロングラン(足を残すための練習用)
ENDORPHIN AZURA(プレートなし) 23,100円 約240g 40/32mm 8mm ジョグ~LSD・テンポランまで1足で何でもこなしたい
ADIZERO BOSTON 13(グラスファイバー) 18,700円 約253g 36/30mm 6mm スピード練習・ビルドアップ走・ロングジョグまでタフに使い倒したい
ENDORPHIN SPEED 5(ナイロン) 約2万円 約237g 36/28mm 8mm インターバル走・ペース走・ビルドアップ走(スピードを出すトレーニング全般)

※重量・ソール厚はメーカーや販売店の公表値(メンズ表記・海外表記を含む)で、サイズやカラーによって異なります。価格は2026年に確認できた一例です。

私ならこれを選ぶ

入口として選ぶなら、NOVABLAST 6を候補にします。17,600円で、プレートなしの厚底を試せるからです。ただ、怪我を経験すると着地の安定感が気になるので、前作より安定感が下がったという指摘がある点は、試着で必ず確認したいところです。もう少しクッションを求めるならAZZURRA、ペースを上げる練習日を作りたくなったらBOSTON 13やENDORPHIN SPEED 5、という順で考えます。

専門家の解説でも、速い人が履いているモデルが自分に合うとは限らず、シューズ選びに絶対の正解はないとされています。私も「好きなシューズを履けばいい」と思っています。普段走っている距離が少し楽に感じられたり、これまで出なかったスピードが自然に出たりすれば、それだけで気持ちのいいものです。「今日は気持ちよく走れた」という成功体験は、ランニングを好きになるきっかけになります。

飛びつく前に、一つ注意したいこと

厚底は、従来のシューズとは違う部位の筋肉を使うため、思わぬ箇所の痛みを抱えるランナーが増えている、という指摘もあります。履き始めは短い距離から、いつものシューズと併用しながら慣らしていくのが無難です。痛みが続くときは、無理をせず、専門家や医療機関に相談してください。

また、この記事の内容は、シューズの構造や研究報告の紹介であり、効果や怪我の予防・改善を保証するものではありません。合わなければ、無理に履き続けなくても大丈夫です。

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まとめ

厚底は、遅いランナーにも意味がないわけではなく、効果の大きさには個人差があります。まずはプレートなしのNOVABLAST 6やENDORPHIN AZZURRAのような入口から試し、慣れてきたらペースを上げる練習にBOSTON 13やENDORPHIN SPEED 5を、という順で考えると無理がありません。いちばん大切なのは、履いて気持ちよく走れるかどうかです。

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